猛毒ヘビに噛まれた科学者が、死の直前まで体に起きた変化を克明に記録した「死の日記」

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シカゴ・デイリー・トリビューン誌 1957年10月3日

「蛇の専門家カール・P・シュミット博士が蛇に噛まれ、死に向かいながらも毒の影響を克明に記す」

以下は、好奇心のせいで治療が遅れ、命を落とした科学者の日記である。

リンカーン公園動物園がフィールド自然史博物館に依頼された30インチ(76cm)の蛇の命名が非常に困難であると判明。

アフリカの蛇であり、特徴的な頭の形状、斜めの鱗、明るい色のパターンを有しているため、難しいはずがなかった。だが、ブームスラングと分類するための決め手がない。肛板が分かれていないのだ。それでもその行動は間違いなくブームスラングであることを証明していた。

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1957年9月25日

ブームスラングである可能性を議論していた時、不用意にそれを持ち上げると、サッと左手の親指を噛まれてしまった。口は大きく開かれ、後ろの、右の牙だけが3mmほど食い込んだようだ。

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・午後4時30分~5時50分
電車で家に帰る途中、吐きはしなかったが、酷く気分が悪かった。

・午後5時30分~6時30分
身体が震え、熱は38.7度ある。5時半頃、口内の粘膜から出血が始まる。ほとんどが歯茎からだ。

・午後8時30分
トーストを2切れ食べる。

・午後9時~12時
熟睡。

・午前0時20分
ほぼ血尿だが、量は少ない。

・午前4時30分~6時30分
水を一杯飲むと、気分が悪くなり吐く。中身は消化不良の夕食だ。かなりスッキリして、6時30分まで眠る。

1957年9月26日

・午前6時30分
体温36.7度。朝食はシリアル、エッグトースト、りんごソース、コーヒー。
尿は出ず、3時間ごとに28gほどの血尿。口と鼻から出血が続いているが、それほど酷くはない。

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– 日記はここで終わっている。 –

9月26日午後1時30分、昼食後に嘔吐。呼ばれた妻により、汗まみれの状態を発見される。会話や返事はできず、妻が医師に連絡をとった。応急処置をしながら搬送し、3時に病院に到着。呼吸麻痺による死亡が確認された。享年67歳。

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ブームスラングの毒について

ブームスラングの毒は急速に効果を発揮する。鳥ならば0.0006mgで1分以内に死亡する。播種性血管内凝固症候群を起こすため体内に大量の血栓ができ、出血により死に至らせる。シュミット博士は噛まれてから死亡するまで24時間かかっている。

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シュミット博士の解剖報告書

目から出血あり、肺から出血あり、腎臓から出血あり、心臓から出血あり、脳から出血あり。

シカゴ・デイリー・トリビュート紙によれば、シュミット博士は死亡する1時間前に医者を呼ぶか聞かれて、症状を台無しにされたくないと断ったそうだ。好奇心は科学者をも殺すのだろうか?

同紙によれば、博士は毒が致死量だとは考えていなかったようだ。また、専門家である博士はブームスラング毒の解毒剤がアフリカでしか入手できないことも知っていた。

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結局、シュミット博士はなぜ死んだのか?

解剖報告書は、死因は蛇の毒だとしている。だが、他にもリスクはあった…科学者というリスクだ。博士は毒を過小評価していたか、あるいは解毒剤が手に入らないため死を覚悟していたのかもしれない。

いずれにせよ、病院には行かず、その経過を克明に記した。そして、科学者として発見の可能性を最期まで冷静に見つめたのだ。

死に瀕すれば、ほとんどの人間はそこから身を引くだろう。だが、シュミット博士は未知の現象に飛び込んで行ったのだ。

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translated hiroching / edited by parumo

出典:カラパイア

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