なぜ福井県では葬儀の席で「赤飯」を出すのか

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赤飯といえば、祝いの日に出される定番料理。

ところが福井県内では赤飯を葬儀に出す風習があるという。

インターネットで検索すると、福井県の特徴として紹介しているホームページも。

実際のところを探ってみると、「祝い」の考え方がみえてきた。

福井市内の葬儀会社に問い合わせてみると「確かに赤飯を出す風習はある」。

担当者によると、葬儀は通常、自宅や町内の集会所などで営まれていたが、

約15年前から葬儀会館が主流になるのと合わせ、赤飯を出す風習も減ってきているらしい。

この会社では「主に郊外で、100件に1件程度の割合で今も出す家がある」という。

ほかの葬儀会社では、年に1、2件あるかないかとのこと。

数は少なくなっているが、葬儀で赤飯を出す風習はまだ残っている。

赤すぎはNG

葬儀で出す赤飯は祝いの席より、やや色が抑えられている場合がある。

色の薄い赤飯を出す「餅の田中屋」(福井市)の田中秀男社長(70)によると、

もち米を蒸す前に入れるあずきの煮汁の比率を変える。

味は白も赤も変わらない。約30年前に、比率を誤った赤飯を出し

「赤すぎると怒られたことが印象に残っている」と振り返る。

他の業者では「通常の赤飯のような赤色でいいか」と確認を取ることもあるそうだ。

注文は年々減っており、「5、6年前までは週に1度あった」が、ことしに限っては10件程度と田中社長。

「昔からのしきたりや風習が簡略化したり、なくなったりするのは寂しい」

民俗学者の金田久璋さん(73)=同県美浜町=は、昔は80歳以上で亡くなると、

「よく長生きした」と喜ぶ考え方があった点に着目する。

金田さんは、葬儀で赤飯を出す確かな起源は分からないとした上で

「長寿を全うしたことへの祝いの意味で出していたのかもしれない」と話す。

また、古くから赤色には力があり、邪気を振り払うとされていた。

浄土真宗の信仰者が多い福井県では、亡くなった後に

浄土に行くということが祝いにつながっているという説もある。

この風習は福井だけに限らず、群馬などほかの地域でもあるらしい。

全く葬儀をしない「0葬(ゼロそう)」が近年増えていると金田さん。

風習には人々が営んできた歴史の積み重ねが背景にあるとした上で、

「しきたりだからとか、風習だからやらなきゃいけないなどと形式的に考えてしまうと、

費用や手間など『面倒くさい』となってしまう。

なぜやるのか、その意味を知ることが大切ではないか」と問いかける。

葬儀に赤飯は、健康長寿県である福井では意味深い風習ともいえる。

時代とともに形は変わるかもしれないが、その心は残していきたい。

 

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