「イスラムとして最期を」

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「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」。
毎日、インドネシア各地のモスク(礼拝所)に備え付けられているスピーカーから、大音量で街中に響き渡る。
「アザーン」と呼ばれる礼拝の呼びかけだ。インドネシアは人口2億4千万人で、国民の大部分はイスラム教徒。
アザーンに導かれ、イスラム教徒の男性はペチ(イスラムの正装時の帽子)をかぶり、女性はジルバブ(イスラム女性のスカーフ)を着て、モスクに集い礼拝、神に祈りをささげる。

礼拝はイスラム教徒の義務。

一日に必ず5回行なう。お祈りの時間が来れば、仕事中でも一時的に作業の手をとめ、職場から近くの礼拝所に向かう。

「死を迎えるその時まで、僕はイスラムでいたいんだ」。首都ジャカルタで働く男性会社員のアリョさん(28)がつぶやいた。
家系は代々、イスラム。

先日、病死した祖父もまた、敬けんなイスラム教徒だった。
家族の死に直面し「病気や事故で、人はいつどこで死を迎えるかわからない」と気づかされた。

イスラムの教えの一つとして禁酒がある。最近はコンビニで、アルコール類の販売を禁止した。国内で増え続けるコンビニは、モスクや教育施設などの近くにも。

未成年者への教育やイスラムの人びとに悪影響を及ぼすとし、インドネシアの商業大臣が販売規制した。

正規ルートでの購入の間口が狭まったこともあり、不正規ルートで購入可能なアルコール度数が非常に高い密造酒に手を出すイスラムの若者も少なくない。

各地で死者が続出している。

教えを無視することは、神に反する行いをすることにもつながる。

最近の若者の動向を振り返り、アリョさんは「お酒は一滴も飲まない。

神に背いた姿で死にたくないから」と話す。

アリョさんによると、イスラムの葬儀は必ず土葬。
火葬は地獄に行くことにつながるといわれているからだ。

遺体は同性の親族が洗い、腐敗防止の薬をかけ、白い布で覆ってモスクに運ぶ。

数時間安置することもあり、その間に親族や知人が集まって故人をしのぶ。

イスラムの聖地、サウジアラビア・メッカの方角に遺体の頭を向け、墓地に埋葬。

最後に死者を送る言葉「タルキム」を唱える。

アリョさんは「世俗に染まることなく、そして罪を犯していない状態で、イスラムとして最期を。

きれいな心で死を迎え、みんなに送られたい。

毎日、礼拝を通じて神に祈りをささげる。これは死へ向かうための準備でもあるんだ」と、穏やかな表情で語った。

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