旅立つ人の最期の願いを叶えたい。患者の涙により生まれた、ある団体の記録

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最愛の動物たちに最後の別れを告げたい


オランダ、ロッテルダム動物園で飼育員として25年以上働いていたマリオさん。毎日自分の仕事が終わると、愛する動物たちを訪れては世話をしていた。その中でも、このキリンは特別な存在だった。

そんなマリオさんを脳腫瘍が襲った。末期の脳腫瘍と診断されたマリオさんの最後の願いは、「もう一度、あの働いていた動物園を訪れ、同僚や愛する動物たちに別れを告げること」だった。そしてその願いがついに実現したのだ。

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「アンビュランス・ウィッシュ・ファンデーション(救急車の願い基金)」は、オランダにあるNPO団体で、マリオさんのように、人生最後の願いを抱いている人たちの手助けをする活動を続けている。末期患者らに最高の思い出を作り、あの世への手土産として持たせたい。彼らは全力で彼らの願いを叶えるために奔走する。


もう一度海が見たい

アンビュランス・ウィッシュ・ファンデーションの設立のきっかけとなった出来事がある。2006年、この基金の設立者であるキーズ・ヴェルドボーさんは、患者を病院から他の病院に移送する救急車の運転手をしてた。3ヵ月ずっと病院のベッドの上だけで生活してきた末期患者を別の病院へ運んでいる時だった。移送している最中に、彼はキーズさんこうつぶやいた。

「最後にフラールディンゲン(オランダの地域)の運河をもう一度見たい」と。病院に運ばれる前に、もう一度太陽の下に座り、水の匂いを嗅ぎたいと言ったそうだ。

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キーズさんはどうしても彼の願いを叶えてあげたかった。本来ならまっすぐに病院に向かわなければならないところ、処罰を覚悟で彼を海へと連れていった。

男性の顔が喜びの涙でいっぱいになるのを見て、キーズさんは胸がいっぱいになり、そして決心した。末期症状の患者たちに幸せを届けるという事は実現可能であり、ものすごく大切な事だと気づいたのだ。そして、自分でもその手伝いが出来るという事を実感したという。

こうして「アンビュランス・ウィッシュ・ファンデーション(救急車の願い基金)」は生まれたのである。

 

この団体は、末期症状の患者は病院の終わりの日までベッドの上で寝ているだけ、という固定概念を打ち破った。通常、そのような患者を移動させることはとても困難で、特別な看護と多くの医療器具を必要とする。そのため「アンビュランス・ウィッシュ・ファンデーション」は特注の救急車を所持し、医療スタッフたちも緊急事態にも対応できるトレーニングを受けている。

そして既に7000人以上の人々の最後の願いを叶えたのだ。


最後に親友のお墓参りをしたい

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もう一度、あの美味しいアイスクリームを食べたい

karapaia_52202609_5アンビュランス・ウィッシュ・ファンデーションは、特に生命に関わる病気を持っている子供たちの願いを叶えることに力を注いでいる。彼らの多くは人生を生きるということを知ったばかりの子供たちである。そんな彼らの願いは実に多様で、ミュージックビデオに出演するとか、英雄的兵士になる日、などたくさんある。

そしてまた、人生を十分体験して、我々を未来につなげてくれた高齢者たちにもその救いの手は差し伸べられる。高齢者たちの願いのほとんどは、「最後にもう一度我が家を見たい」とか「美しいものを数時間眺めていたい」など、彼らが日頃から大切にしてきた小さなことだと言う。

BBCのインタビューに答えたキーズさんはこう話している。半年間家に帰れなかったある女性患者は、最後の願いとして、自宅に戻りたいと言った。ストレッチャーで自宅のリビングルームに運ぶと、その女性は自ら体を持ち上げ数時間そのままの状態でいたという。「彼女は特に何をすることもなく、ひたすら我が家を眺めていました。まるで、そこで起こった自分の人生の全て振り返っているかのように… そのすべてを目に焼き付けた後、彼女は静かに『さあ、病院へ戻りましょう』と言ったのです」


レンブラントの絵画をもう一度見たい

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イルカが遊んでいる姿を見たい

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彼らの願いを叶えるべくスタッフは奔走する。今では毎日約4人の患者の最後の願いを叶えている。まだ会えてない孫を一目見たい、もう一度ビーチへ行きたい… 人によってその願いは様々だが、人生における純粋でシンプルな喜びこそが一番大事なことだったと、人は最後に気が付くのかもしれない。


孫娘の結婚式に参加したい

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出典:via:bbc・upworthy・Translated mallika

自分の人生の最後で頭をよぎるのは何なのだろう?人生にとって何が大事だったかなんて、最後になるまで気が付かないものだ。だが、ないものねだりするよりも、今の境遇を嘆くよりも、今自分が持っているものを大事に思い、感謝の気持ちを怠らなければ、きっと最後に幸せを実感できるのかもしれない。

偉業を成し遂げたとか、巨万の富を手に入れたとか、そんなことではなく、本当に大切なものって、何気ない日常生活の思い出にあるのかも。

だが、それが何であろうと、人生最後の思い出を最高の思い出にしてくれようと頑張っている人たちがいる、という事実だけでも心は温かくなるはずだ。さあ、今日もそこに在る日常を大切にしよう。


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